« 世界は新自由主義から国家資本主義へ | メイン | 雷でサスペンデッド!薗田、池田はスタートできず »

開眼し閉眼し開眼し閉眼する

 絶好調、という言葉がある。今シーズンでいえば、米女子ツアで活躍している宮里藍、開幕2連勝を含むシーズン4勝。世界ランキングも男女日本選手として史上初の1位。全米女子プロでも、初日97位から48位、24位、そして最終日には66で回り、3位になった。
 いまの宮里の実力、絶好調ぶりを示すいい例だと思う。つまり底力がついてきたということだ。選手が最も充実しているとき、どんな感覚を持っているのだろう。かつて岡本綾子に聞いたことがある。「例えば、アイアンショットで、インパクトの瞬間、ボールとフェースの間に、葉っぱが1枚噛んだ、2枚噛んだと感じたときに、ボールがどう曲がって飛んでいくのか、それが瞬間で見究められた。」と言った。
 それはなにもショットそのものだけではなく、ゲームをつかさどる脳と心、そして肉体と、まさに心技体の同調がそういう自在なゴルフをさせているのだろう。宮里は「世界ランキング1位としてプレーして、今週は、いい経験をした。自分のベストプレーをすればいいと思って、あまり意識はしなかった。でも結果的にはいい集中力につながって良かった。」と言った。
 誰もがどこか余裕があって、自分自身を第三者的な視点で分析できていることだ。あー、こういう現象が、開眼というのだろうな、と思った。我々アマチュアゴルファーは、ちょっとしたヒントを教わって、それがうまくいくと、すぐに「あ、わかった、開眼した」と言い、そしてすぐに閉眼する。誰かが言っていたけれど、アマチュアは毎日、開眼と閉眼を繰り返している。もうだいぶ昔のゴルフ雑誌の企画に「大開眼・中開眼・小開眼」というタイトルがあった。まさに、これがアマチュア的視点だと苦笑いしたことがある。
 開眼は仏教では「かいげん」と読む。大抵の場合は、曼荼羅の仏壇、神仏の木像などに魂を入れるときによく使う。でも、魂を入れてもらえば、それで終わりと思っている人がほとんどである。魂を入れてもらうということは、その魂を入れてもらったものに対して自分自身にも魂を入れるべく精進することである。だから、本来の開眼の意味、智恵の眼を開き、真理に目覚めるということになる。自分の心持ちの眼を開くこと。そして光放つ(開光する)ことである。スポーツ選手が高みの領域で好調を重ね、それを維持していく。それは何か抜け出して、開眼し、その光を放つことによって向こうからも反応してくる関係が、きっと絶好調という状態なのだと思う。これをゴルウに例えるならば、現象に焦らない。広く見渡せる精神的余裕がある。自分がなにをすべきか、なにがもっとも得策かを見極められる。そして、その一打を自信をもって放つ技量も備わっている。しかも4日間72ホール持続できる。そういうゲームをつかさどる肉体と精神のバランスが、整っている状態なのだろう。
 ジャック・ニクラスに「なぜ、あなたは長い間、高みの領域で戦えたのか」と聞いたことがある。すると、ニクラスはこう答えた。「(ゴルフゲームを高みの位置で支える」肉体曲線と精神曲線。最初は下からどんどん上昇いていく。ふたつともね。それでいったんクロスする。最初のピーク。その前後が優勝年齢の始まり。それが私の場合19~20歳。ふつうの場合は肉体も下降線をすぐにたどってしまう。それが30歳。肉体は30歳過ぎたら直滑降に落ちる。けれども、私の場合は違う。その線は同じ高さで(高いレベルのまま)ずっとキープしていた。なぜなら、肉体が精神を支え、精神が肉体を支え合って、つまりそれだけ、努力・精進して、高みの領域をキープさせたからです。でも、最後は再びクロスしながら下降する。年齢の限界がきたときだね、それは………。)
 ニクラスは長きにわたって高いレベルのゴルフを繰り返し、輝かしい成績を残してきた。つまり開眼の時期が長かった。それは、ゴルフゲームに必要な、智恵の眼を開き、自分の心持ちの眼を開き光放つ(開光する)ことに対して、怠けなかったからだと思う。
「善からぬこと、己のためにならぬことは、なし易い。ためになること、善いことは、実に極めてなし難い。」という法句経の一節は、すぐに閉眼してしまう我々のことを言っているのだろう。
           ―――「昌鳳和尚のゴルフ講話」より
(    神奈川県・法勝寺 三田村昌鳳師 元週刊アサヒゴルフ編集長)


トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://www.wakakiti107.net/blog/cgi-bin/mt/mt-tb.cgi/2442

コメントを投稿

(いままで、ここでコメントしたことがないときは、コメントを表示する前にこのブログのオーナーの承認が必要になることがあります。承認されるまではコメントは表示されません。そのときはしばらく待ってください。)

About

2010年07月02日 01:16に投稿されたエントリーのページです。

ひとつ前の投稿は「世界は新自由主義から国家資本主義へ」です。

次の投稿は「雷でサスペンデッド!薗田、池田はスタートできず」です。

他にも多くのエントリーがあります。メインページアーカイブページも見てください。

Powered by
Movable Type 3.34