三菱自動車(益子修社長)の再婚話が壊れて三菱グループは落胆している。中でも三菱重工業(大宮英明社長)は苦り切っている。三菱重工は三菱自の株式の15.2%を保有する筆頭株主で、持ち分法適用会社へ組み込んでいる。重工の社長、会長を務めた三菱グループの重鎮、西岡喬氏(73)が三菱自の会長だ。
三菱自は3日、仏プジョー・シトロエン・グループ(PSA)との資本提携の白紙撤回を発表した。この再婚話は難しいとみられていたので、自動車業界には驚きはない。
「三菱自は、青い目のお金持ちと再婚できると考えていたようだが、当てが外れた。三菱自の株式の5割を取得するためのカネはPSAの財布をいくらはたいても出てこない。PSAの狙いは、三菱自ではなく、その親筋の三菱グループ。三菱グループと親戚付き合いをして、カネを引っ張るつもりだったのではないか?」自動車担当アナリストはこう言い切る。
三菱自の業績は惨憺たるものだが、PSAはもとひどい。PSAの時価総額はおよそ5800億円で、三菱自(約7300億円)を下回っている。
そのため、「PSAの30%の株式を保有する創業家のプジョー家が、不利な株式交換の結果、PSAの議決権を失うことに難色を示した。これで提携交渉が流れた。(前出のアナリスト)という。
現金(キャッシュ)がなければ株式交換に頼るよりないが、この細い道も閉ざされてしまった。この結果三菱自の思惑もパーになってしまった。
「三菱自は05年のダイムラーとの提携解消時に、三菱グループ12社に優先株式約4400億円を引き受けてもらった。それを今回のPSAの資本参加で得たカネで買い取り、償却する。そうすれば今期末(10年3月末)から生じる優先株の年220億円の配当負担が解消できるとそろばんをはじいた。一方、三菱グループは、出資したカネが戻ってくる上に、三菱自の重荷からようやく解放されると胸をなで下ろした。」(外資系証券会社の首脳)
しかし、出戻り娘の再婚話は、またまた破談。4400億円の出資金が戻ってこない上に、資本提携がポシャったため、3月末の優先株の配当は見送る方向となった。だから220億円の配当金も入ってこない。踏んだり蹴ったりだ。
お荷物の三菱自から足抜けできるとの思惑は、完全に吹き飛んでしまった。ぬか喜びとは、まさにこのことだ。
野村隆夫の「人と事件」より