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制度を変えれば「政治とカネ」の問題は解消するか

 「制度に責任をかぶせるのは、泥棒が捕まった時、“玄関のカギがかかっていなかったのが悪い”と開き直るようなものでは……………」
 恐る恐る反論したが、曖昧に同調してくれたのが1人だけだったのを覚えている。
 1989年の1月、自民党は、前年に発覚した「リクルート事件」への世論の厳しい指弾に対し、“反省”の姿勢を示すことで批判をかわそうと「政治改革」をスタートさせた。責任者は後藤田正晴元副総理。
 筆者を含め、プロジェクトのメンバーに指名された党本部スタッフの初会合で、後藤田は、「政治とカネの問題の根源には選挙制度がある。現行の中選挙区制が諸悪の根源だ」といった趣旨の発言をした。この論理に対して抱いた素朴な疑問が冒頭の反論。濡れ手で粟のボロ儲けをした悪徳政治家を退治せず、制度に責任を負わせるのは本末転倒だ、と思ったからである。
 しかし、何しろ相手は「カミソリ」の異名を持つ大物政治家である。反論はほぼ無視される形で「政治改革」がスタートした。
 結局、この時に始まった政治改革は94年の細川政権下で「政治改革3法案」となって結実するが、中身は当初の方針通り選挙制度改革が中心。「政治全体の改革」がいつの間にか、「小選挙区制導入」に矮小化されてしまった。その過程で、現民主党幹事長の小沢一郎氏が、選挙制度改革推進の中心人物となっていたことは「知る人ぞ知る」である。
 で、選挙制度が中選挙区制から小選挙区中心の制度に変わったことで、「政治とカネ」の問題は解決しただろうか。言うまでもなく「ノー」である。選挙制度が変わっても、政治とカネのスキャンダルは減るどころか、むしろ増加傾向にある。現に、総理と与党の幹事長がともに「政治とカネ」で疑惑の渦中にいることが、何よりの証拠だろう。
 さて、ここにきて、その2人が政治資金規正法の改正による「企業・団体献金の禁止」を言い出している。まさに「よく言うよ」だ。
 そもそも「悪さ」がバレた2人に「制度が悪い」という資格がある?まずは、きちんと説明し、責任を取ることが先のはず。繰り返される制度への責任転嫁。自分の罪を棚に上げ、いくら制度をいじっても何の効果も上がらないことは「歴史」が証明済みだ。
       伊藤惇夫(政治アナリスト)の「政権交代その先を読む」より

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2010年03月11日 01:44に投稿されたエントリーのページです。

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