トヨタの看板ともいえるハイブリッド車・プリウスのブレーキ不具合問題は、日米でのリコールにつながる大騒動に発展した。件数や日米政府の対応などの詳細は他稿に譲るとして、今回はハイテク車の盲点に触れてみたい。
「どう考えても制御プログラムのバグだ」
プリウス問題が浮上した直後、ハイテク民生品に詳しいアナリストがこう憤った。同氏は半導体など電子部品や電気製品、車部品までを幅広くカバーする人物で、一連のプリウスの不具合についても、電子部品特有の不具合を指す「バグ」と指弾したのだ。何故このアナリストが憤ったのか。根底には、かつてトヨタが声高に宣言した事項がある。
多くの読者が知る通り、現代の車は大量の電子部品で制御されている。エンジンや燃料はもちろん、今回問題となったブレーキ制御についても同様だ。トヨタの場合、多数の部品を系列企業とともに「大半を内製してきた」(同アナリスト)との経緯がある。なぜなら「電機業界の製品は品質管理手法がデタラメ。同様の開発手法では自動車には採用できないため、トヨタ独自の生産手法を導入し、バグゼロを実現している」などと、担当幹部が何度も投資家向け会合で強調したことがあるからだ。
別のアナリストによれば「人間がプログラムを作る以上、バグゼロは不可能。技術・品質のトヨタといえど、ゼロ宣言は言い過ぎ。」と見る向きが多かったのだ。
強気発言を知る多くのアナリストたちは、一連のプリウス騒動で「慢心があった」と批判しているわけだ。ブレーキ回りのバグ。車好きの筆者にとっては、鳥肌が立つような言葉である。
相場英雄(作家)の「マネーの深層」より