大規模なリコール問題で大揺れのトヨタを尻目に、ライバルのホンダが勢いづいている。3日に業績を上方修正。10年3月期の純利益(米国会計基準)を前期比93%増の2650億円(従来予想は1550億円)に引き上げた。
トヨタも負けじと4日に上方修正したものの、純利益はホンダの3分の1程度の800億円。そこに新型プリウスのブレーキ不具合問題が重なった。株式マーケットは激動した。両社の株価(4日)が一時逆転。トヨタが140円安の3260円に下落した時、ホンダは160円高の3300円を付けていた。終値こそトヨタの再逆転だったが、「両社の株価が最も接近したのは75年春です。株式分割などで単純比較は難しいですが、逆転は初めてでしょう。」(市場関係者)
ホンダの原動力はどこにあるのか。経済ジャーナリストの井上学氏が言う。「一言でいえば分相応な戦略です。トヨタは販売台数世界一を達成するため、次々と工場を建設しましたが、ホンダはジッと我慢した。これが結果的に吉と出た。クルマが売れない時代に、過剰な生産設備は重荷になる。身の丈にあった経営がホンダの強さでしょう。」
自動車業界に詳しいジャーナリストの山田清志氏はこう読む。「二輪車です。インドなどアジア諸国で、ホンダのバイクは大モテ。これが好業績の背景にある。」
ホンダの09年度決算を見ると、二輪車の売上高は減少しているが、販売管理費や研究開発費を減少させた効果などで、営業利益率は回復傾向にある。
第1四半期 2.2%
第2四半期 3.4%
第3四半期 5.8%
猛スピードで改善中だ。この勢いが続けば、トヨタの背中が見えてくる。
「心配なのはトヨタのリコール問題が、日本車全体に波及すること。メーカーに関係なく品質や安全性に疑問を抱く米国人が増えると、ホンダも痛い。」(前出の井上氏)
一方で、「ホンダは大チャンス。米国はじめ、アジア各国でビジネスを拡大する絶好機ではないか?」という自動車関係者がいる。
ホンダは今年に入り、シビックなどを生産する中国の合弁会社「東風ホンダ」の第2工場建設を決めた。今が勝機か。攻めの体制を整えつつある。