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がむしゃらの愚を悟った石川遼

 確か、昨年の日本シリーズの練習日だった。石川遼の記者会見で、なるほど、ツアープロたちは、こういう思考回路なんだと、改めて感心させられたことがあった。
 よみうりカントリーの16番ホール、410ヤード、パー4で、彼は残り110ヤードをアプローチウエッジのフルショットで打った。ピンは、グリーンの奥めに切ってあった。ボールは、ピン手前3メートルに落ちた。そしてバックスピンがかかり、そこから10メートルほどもどった。
 「それを見て、このグリーンはこの攻め方じゃだめだなと思って、ピッチングウエッジでかなり短く持って少し抑え気味に低い球で打って、それもだいたい1球目と同じところに落ちたのが、その場所で止まるか1メートルくらい転がる感じですからね。そういうイメージで打っていかなきゃいけないホールが16番以外にもあると思いました。」というコメントだった。そしてさらにこう付け加えた。「そういう状況に合わせたジャッジと球筋、距離感の合わせ方は、練習しかないわけです。例えば、(状況判断と練習のたまものでいえば)15番ホールで、95ヤードをアプローチウエッジで打って、ピン横につけました。以前なら、サンドで思いっきり振れば届くという距離で、アプローチウエッジを持てるようになったっていうのが大きいです。」
 全米オープンのコースが難しいといわれるのは、ショートゲームの距離で、グリーン上で、その場で、止める、奥から戻す、手前から転がすというバリエーションが、18ホールにちりばめられているからだ。選手の技量の要求度が当然高まるから、難しい、面白いといわれるのいだ。
「放逸」という仏教用語がある。煩悩のひとつだが、善悪の判断も行動もだらしないこと。怠惰、心が散漫になり、善行に専念できないこと。悪を防ぎ、善を修することに対してだらしなく精進を怠ることである。
 石川は、昨年後半の成長のひとつとして、このピンまでのショートゲームに対する距離感のジャッジを挙げていた。サンドウエッジならばバックスピンがかかり過ぎる可能性が高い場面で、アプローチウエッジをコントロールして距離を合わせをする。
コースマネッジメントというのは、ティーショットで刻んだり、適切なルートを決めてそこに運ぶということだけではなく、グリーン面に対して、あるいはピンの位置に対して、どのクラブで、どんなスピンコントロールをする球筋を選ぶか、ということも大切だ。
 つまり、がむしゃらにピンを狙う。残り距離だけの判断で打つ。思慮のないプレーということだろう。
「智慧乏しき愚かな人々は放逸にふける。しかし心ある人は、最上の財宝をまもるように、つとめ励むのをまもる。」と法句経の一節だ。
 「良かったときはこうだったというのは、あまり振り返り過ぎても良くない。今日が良かった悪かったって言うんじゃなくて、やっぱ全体的に内容のレベルを上げていって、良くても悪くても自分の内容に満足できるかそうかです。」石川遼は、今最上の財宝(コースマネジメントと智慧)を増やそうとしている。
      ―――「昌鳳和尚のゴルフ講話」より
         (神奈川県・法勝寺 三田村昌鳳師 元週刊アサヒゴルフ編集長)

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2010年01月26日 06:17に投稿されたエントリーのページです。

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