いま世界を流動性バブルが覆っている。あらゆる経済指標が良くないのに、株価だけが上昇しているのだ。東証は1万1000円近く。NYダウも1万500ドルを超えた。
確かに過去の通常の不況なら、そろそろ景気は底を打ってもおかしくない。だが、アメリカの失業者は増え続けている。11~12月の失業率はついに10%に達し、2009年の通年の失業者数は400万人を超えた。小売りの売上高も耐久消費財も低迷、住宅の新規着工もほとんど伸びていない。
しかも、それらが急速に反転する予兆がない。銀行は不良債権処理に追われ信用収縮(貸し渋り)が起きている。株価だけが上がり、実体経済が全く振るわないのだ。
このままでは、11月の中間選挙でオバマ大統領は敗北を喫するだろう。その時、ウォール街の手先とされるガイトナーのクビを切って、態勢を整えなおさないとアメリカは長期停滞に入る恐れがある。日本はもっと深刻だ。11月の機械受注は11.3%の減少、失業率も5.2%と高止まったままだ。ひたすら価格破壊の競争が続いている。
世界各国が財政出動を行った額は17兆ドルに及び、金融当局が猛烈な金融緩和を続けているにもかかわらず、この状態。財政 金融政策では、株価が上昇しても実体経済がよくならない「100年に一度」の異常事態だ。ミニバブルもいずれ行き詰まるだろう。
日本はこの3月末が当面の危機だ。雇用調整助成金や中小企業緊急雇用安定助成金を切ったら、大量の失業者が吐き出され、つなぎ融資が切れれば、中小企業もバタバタいく。
民主党は、自分たちが置かれている状況が分かっているだろうか。昨年末に発表された「新成長戦略」では、この10年間の成長戦略を実現できなかったのは、政治のリーダーシップが欠如していたからだ、としている。それなら、福田政権や麻生政権の「成長戦略」対抗し出した、民主党のマニフェストで掲げた政策は一体何だったのですか、と問いたくなる。
民主党は国民を裏切ってはいけない。いま一度、自らのマニフェストに立ち返り、新しい成長産業を生み出すために、大胆なグリーン・ニューディール構想の具体化を急ぐ必要がある。
―――――――金子勝(慶大教授)の「天下の逆襲」より