新年早々「死刑」とは穏やかじゃない。ミャンマー・ヤンゴンの裁判所で、元ミャンマー陸軍少佐と元外務省職員の2人に死刑判決が言い渡された。
2人の罪は、同国の軍事政権ナンバー3、トゥラ・シュエ・マン陸海軍作戦調整官が2008年11月に北朝鮮を極秘訪問し、軍事協力で合意したことを米政府系放送局などに漏らしたというもの。ミャンマー国内の地下トンネル網に関する情報をメディアにリークした罪にも問われている。
日本の新聞ではベタ記事扱いだったが、これは極めて重大なニュースだ。実はいま東アジアでは、ミャンマーの戦略的重要性が高まっている。そのミャンマーが地下トンネルに何らかの重要な施設を建設している可能性がある。今度の死刑判決は、その事実を自ら認めた形になるからだ。
昨年6月、北朝鮮の貨物船カンナム1が、いったんミャンマーに向かい、引き返したことがニュースになった。それとほぼ同時期、米国務省高官が記者団に「北朝鮮がミャンマーに核協力している。」との情報を漏らした。
米エール大学関係のシンクタンク、エール・グローバルによれば、ミャンマーは北朝鮮の技術援助を得て新首都ネピドー近くで、600~800ケ所の秘密トンネルや地下施設を建設しという。ミャンマーで操業しているのは平壌の核関連企業「南川江貿易社」(NCG)の技術者といわれる。NCGの一昨年、イスラエル軍の爆撃を受けたシリアの原子炉の建設にも「関与した。
こうした活動を秘密裏に進めていることが明らかになったわけで、これは非常に怪しい。地下施設では核兵器関連施設を建設している可能性もあるだろう。ミャンマーは石油、天然ガスを産出する。それに加えて中国はベンガル湾に臨むシトウェに港湾施設を建設、雲南と結ぶ道路やパイプラインを建設中と伝えられる。中国がインド洋一帯に構築中の輸送・補給網の重要な拠点のひとつだ。
昨年6月には、神奈川県警がミサイル開発に必要な磁気測定装置をミャンマーに違法輸出しようとした北朝鮮系貿易商社の社長ら3人を逮捕したこともあった。ミャンマーから目が離せない。
春名幹男(名古屋大学大学院教授)の「国際情報を読む」より