<道に倒れて誰かの名前を呼び続けたことがありますか、という中島みゆきの笑っちゃうような歌詞がリアルに感じられます。>
馴染みの銀座の小料理屋から、こんな書き出しで始まるハガキを頂いた。
<東洋一の繁華街といわれた銀座も、エッ?ここはシャッター通り??と見間違うような通りも出現し、笑っちゃうしかない有様です…………>
確かに最近の銀座は、新たなテナントが入らずシャッターが下りたままというビルが目立つ。高い付加価値を生み出すはずの一等地が空き地やコインパークングになっていることも珍しくない。自らの店舗は地下に移し、中央通りに面した1階を賃貸して苦境をしのいでいる老舗もあると聞く。
数年前、飲食店がタッグを組んでファストフード店の表通り進出を止めた武勇伝がウソのような惨状である。
銀座は日本経済を映す鏡のような町だ。客の大半を社用族が占め、街全体が企業の交際費や接待費を中心に潤ってきた。しかし、今の企業は、銀座では落とせるカネがなくなっているのだろう。
もっとも、企業が削っているのは、交際費だけではないようだ。帝国データバンクによると、2009年の倒産件数は3年連続で増加したそうだ。資本金5000万円以上の企業の倒産は前年比でマイナスになったものの、資本金1000万円までの企業の倒産がドッと増えたらしい。大手企業のコスト削減のあおりを受け、下請けとなる中小零細企業はバンザイという格好だ。
JALのように、政府や銀行が寄ってたかって再建策を考えてくれることもない。土砂崩れ的な経済崩壊の中では、亀井大臣が主導し成立した金融モラトリアム法案も、どれだけ効果があるのか未知数である。
しかし、座して死を待つことはない。あるラーメンチェーンは日本の味とサービスで東南アジアに進出し大成功しているそうだ。銀座でアップアップのラーメン店もシンガポールに行けば繁盛するのかもしれない。
海外展開を決断できるか、そんな勇気があるか、気力があるか――――。淘汰が進む国内に残っていては、ボロボロになる。ボーダーを超えられる会社だけが生き残れる。今はそれほど厳しい時代なのだ。
高橋乗宣(相愛大学学長)の「日本経済一歩先の真相」より