この年末、年始、「鳩山不況」とか「民主党不況」とか、2010年度予算案に対して「民主党が財政赤字を膨らませている」といった「批判」が行き交った。だが、「構造改革」をあおった連中にそんなことを言う資格はない。財政を悪化させたのも、「自公政権」の「増税なき財政再建」路線の破綻にすぎず、このデフレ不況は明らかに小泉「構造改革」のツケである。ドタバタの中で、それを引き継いだ民主党に同情する。しかし、2010年は、民主党も言い訳は通用しない。
2010年は、極めて厳しい1年になる。民主党はそのことを認識したうえで、景気を持ちこたえさせながら、「新しい成長戦略」をいち早く打ち出さなければならない。
これまで民主党は、数値目標に矮小化されたマニフェストの実行に追われ、CO₂25%削減の具体策も、後期高齢者医療制度の廃止も、年金の一元化も、農業の6次産業化も、本格的政策はほとんどやっていない。民主党に必要なことは、自分たちが掲げたこうした政策の理念をきちんと理解し、「成長戦略」といかに結びつけるかである。民主党は大胆なグリーン・ニューディール政策をやるべきだ。経済が衰退している地域を「エネルギー」と「食糧」の一大基地にし、スマートグリッドによる送配電網を展開する。建物の断熱やエネルギー自給、エコ家電や次世代自動車の普及も経済効果が大きい。
医療改革や年金改革は、一朝一夕には出来ないが、改革案と必要な財源を明示したうえで、工程表を提示することで、国民に不退転の決意を示すことだ。そうすれば、国民は安心し、政権を信頼するようになるだろう。
大事なことは、こうした政策を春先までに決めることだ。7月の参院選が近付くと、「政策」が選挙の道具や権力闘争に使われ、泥まみれになりかねない。民主党がマニフェストに掲げた新しい理念がなにひとつ実現することなく、ずるずると後退していけば、政党政治は崩壊する。
筆者は2月1日に、「緊急検証、民主党政権」(小学館)を出版する]予定だ。民主党が何をなすべきかを具体的に書いたので、民主党議員にはぜひ、一読してほしい。
―――――――金子勝(慶大教授)の「天下の逆襲」より