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467ヤードという最大飛距離が話題にもならない米ツアーから学ぶべきもの

 米ツアーで毎週出されている記録の中に、ロンゲスト・ドライブス(最大飛距離)というのがある。昨年のこのランクを見ると、まるで別世界だ。
 1位はチャーリー・ホフマンの467ヤードだ。以下、400ヤード以上の飛距離をお記録した選手は述べ47人いる。もちろん、とーなめんと会場のコースが高地にあったり、ダウンヒルだったり条件はいろいろあるだろうが、飛ばし屋の最大飛距離となれば、いまや400ヤード超えが当たり前。
 なにはともあれ、彼らのポテンシャルは、300ヤードという壁はとっくに超えている。ロンゲストのランクは350ヤード以上で終わっているのだ。だが、平均飛距離で見るとロバート・ガリガスの312ヤードが1位で、13位のフィル・ミケルソンの300.1ヤードまでが300ヤード超えの選手となる。ちなみにタイガー・ウッズは298.4ヤード、セルヒオ・ガルシアが298.5ヤードだ。ここで言いたいのは、戦略を練ってゲームを組み立てる彼らにとって400ヤードオーバーの飛距離は自慢にもならないし、話題にもならない。
面白い現象がある。ここ数年、平均300ヤードを超えていたビジェイ・シンが293ヤードに落としていることだ。彼もまた最大飛距離でいえば400ヤードは楽に飛ばせる選手だ。特に昨年はむしろ「見るとテンプラ気味のボールで、落下地点のままか、ほんの少し転がる程度の弾道が目立つ。」と内藤雄志プロコーチが言っていた。確かにそうだ。
「つまり、そのボールを打っている限り、フェアウエーが硬い、軟らかいとおか関係なく、ドライバーの飛距離に安定感があって、ゲームをつくりやすいでしょう。米ツアーの選手を見ていて共通することは、自分のゲームをどうやって組み立てていくか、ということに専念していることですね。それに必要なスイング、つまり、いつどこでも、どんな場面でも同じスイングができる復元力を養う練習を積んでいることだと思う。」(内藤コーチ)
飛距離願望は、人間の優先本能であると思う。アマチュアにはこの本能のままに行動する人が多い。車を運転して、他人の車が自分を追い越すと、つい抜き返したくなる。それと同じに、相手が飛ばすと1ヤードでも先に飛ばしたくなる。いまでは、飛距離という見えが、ドライバーにとどまらず、アイアンにまで伝染してしまい、パー3のホールで、相手が8番アイアンなら、自分は9番アイアンで、という具合に見えが加速する。
アマチュアゴルファーは、この見えの塊と優先本能のとりこになってしまうのだ。「ゴルフには、遠くへ飛ばすことと、もうひとつ、その距離範囲内にとどめるという目的がある。」という2つの原則をどうやってゲームで織り込むかがゴルフである。それは、アマチュアに限らず、日本のツアー選手たちにもいえることだ。特に、米ツアーを体験してくると「もっと距離が欲しい」という欲望にさいなまれて結局、スイングを乱し、自分のゲームを壊してしまう。
マリナーズのイチローはホームランバッターではない。それでも成功し、多大な実績を挙げている。今田竜二は飛ばし屋ではない。それでも、米ツアーで優勝した。丸山茂樹もしかりである。彼らに共通していることは、自分の持ち味を生かしたゲームをしていることだ。もともと400ヤード超えが不可能なのだ。平均300ヤードは不可能なのだ。ドラコン大会ならいざ知らず、ゲームの中で平均300ヤードを、どれだけ余力を持って出しているのかが問題なのだ。
宮里藍が、この4年間悩んだテーマのひとつが、やはり飛距離だった。もっと飛距離が欲しいという試行錯誤から脱却して、米ツアーの初優勝へとつながったのだ。
「自ら得たものを軽んじるな。他者が得たものを羨むな」という法句経の一節は、まさに自分が培った技量を軸にしてゲームを組み立てろということにつながる。飛ばしたいという魔力は、ゴルファーにとってはまさに悪魔の囁きなのかも知れない。
          ―――「昌鳳和尚のゴルフ講話」より
(神奈川県・法勝寺 三田村昌鳳師 元週刊アサヒゴルフ編集長)

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2010年01月14日 07:20に投稿されたエントリーのページです。

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