2010年の景気はどうなるのか。新年1回目のコラムとしてはふさわしいテーマだが、中身はめでたくも何ともないものになってしまう。「悲観論の乗宣」と言われてきた小生にも、記憶にないぐらい厳しい予想しか出来ないのだ。
政府は2010年度のGDP成長率を実質で1.4%、名目で0.4%と、いずれもプラスの見通しを出している。この達成は困難だろう。楽観的になってみても実質でゼロ、名目はマイナスになる公算が大きい。速報値と改定値で大幅に下方修正された7―9月期のGDPで、プラス成長になっていたのは外需だけである。この傾向は、今年も変わらないだろう。
昨年続いて大型の景気対策を打ち出すと期待される中国をはじめ、アジアを中心とする需要だけが頼りなのである。すでに「ない」に等しい内需が盛り返してくる姿は、とても見込めない。メロメロになるのは明らかだ。
7―9月期に2.8%のマイナスだった設備投資は、これから一段と落ち込んでくる。9月の日銀短観をみても、設備投資計画は前年に比べてマイナスだ。10―12月期、1―3月期ともプラスに転じる見通しは立てられない。
冬のボーナスが大幅に落ち込み、ベースアップどころかベースダウンが現実味を帯びている現状からは、わずかにプラスを維持している個人消費も息切れすると判断せざるを得ない。住宅投資はより厳しくなるし、公共事業だって減り続けるだろう。春以降の2番底は避けがたい情勢なのだ。
政権交代の混乱も、経済的にはマイナスだ。自民党政権に終止符が打たれたこと自体は、高く評価できる。しかし、政策の見直しや転換が景気の重荷になるのは確実だ。国民の生活が第一という民主党の政策が浸透してくるまで、どうしてもタイムラグが生まれてしまう。鳩山首相は「予算を出来るだけ早く成立させ、国民の命を守るため突っ走っていく。」と強調していたが、残念ながら救いきれない人たちが出てくる危険性は高い。
日本経済は、戦後経験したことのない悲惨な姿になってくるだろう。しかし、ここをなんとか乗り切れば、いくらか出口が見えてくるかもしれない。われわれは正念場の年を迎えたのだ。
高橋乗宣(相愛大学学長)の「日本経済一歩先の真相」より