オリンピックの陸上・ハードル競技には110メートルと400メートルがある。他に3000メートル障害というのもあって、こちらにもハードル越えがあるから、仲間に加えてもいい。何故、こんな話を持ち出したかといえば、来週から始まる通常国会が、鳩山政権にとって、「ハードル競技状態」になる可能性が高いからだ。それも短い距離の中でたくさんのハードルを越えなければならない110メートルハードルになるだろう。
いろいろあったとしても、昨年末までは政権交代の高揚感が残っていた。国民もまだ、漠然とした期待感を捨て切れなかったはず。だが、年があけた今、もう誰も鳩山政権を甘やかしてはくれない。いよいよ“実力”が問われることになる。
さて、通常国会だが、鳩山政権を待ち受けるハードルは数も多いが、高さも尋常ではない。まず、通常国会冒頭から、与野党攻防のテーマとなるのが、「政治とカネ」の問題。野党・自民党は、他に攻め手がないこともあって、この問題で徹底的に攻める構え。鳩山首相自身が母親からの多額の「子ども手当」の使途をきちんと答えられるのか、「まだまだ出てくる」ともいわれている民主党・小沢幹事長の資金疑惑に関する今後の展開は………。ここでハードルに足を引っ掛ける可能性も十分ある。
また、「景気と雇用」も、政権を脅かしかねない。景気全般に関しては、国際経済の動向とも絡むため、予測は難しいが、地方経済、景気が春頃にますます悲惨な状況に陥っている可能性は高い。なにしろ、所管大臣の前原(誠治)国交相が「土建屋は半分に減ってもいい」と言い放つ政権だ。また、雇用も注目点。中でも問題は、地方を中心とした凄まじい就職難による大卒、高卒の「就職難民」が、この4月に大量発生しかねないこと。対応を誤れば、政権にとって、大変な“爆弾”になりかねない。
5月末には沖縄の米軍基地移転問題で「結論」を出さなければならないが、どうやら米国側が「先延ばしでいいよ」といわない限り、米国、沖縄県民双方を納得させる答えを見つけるのは至難の業。またまた「約束違反」となれば、首相の進退にも関わってくるだろう。
果たして鳩山政権、ハードルに足を引っ掛けて転倒、リタイアとならずに参議院選挙というゴールテープを切れるかどうか。
伊藤惇夫(政治アナリスト)の「政権交代その先を読む」より