「ベスト&ブライテスト」は、ジョン・F・ケネディ政権に集まった「最良の、最も聡明な人々」が何故、ヴェトナム戦争の泥沼へと陥ってしまったかを活写した、デイヴィッド・ハルバースタムの代表作です。
事業仕分け、JAL(日本航空)。普天間基地。経済対策、公共事業、労働組合、偽装献金、宮内庁。「政権交代」から100日を迎え、「最良の、最も聡明な人々」が集った筈の鳩山政権は、「J・F・Kの呪縛」に囚われています。
官僚統治を一刀両断した○×式入試問題の如き事業仕分けは早晩、“ブーメラン”として政権を襲ってくるでしょう。ダムを造るか造らないかの二元論ではなく、如何なる治水を実施するか。この国の在り方が問われているのです。
何故、八ッ場ダムと川辺川ダムの2ダムのみをマニフェストで中止と明示したのか、その根拠を示さぬ儘、マニフェストに記したから問答無用な“上から目線”で通達するばかりでは、非論理的、非科学的な市民“絶対反対”運動家
と同じです。
不要無用なダム建設ではなく、河床掘削、護岸補強、家屋移転、遊水地、森林整備等を主軸とする新しい治水の在り方を国民に提示し、その理念と方針に基づき、具現化する。それでこそ、成熟した政治指導者です。
12月15日に前原誠司国土交通大臣は「できるだけダムにたよらない治水への政策転換に対する協力のお願い」と題する書面を全国の都道府県知事に送信した。都道府県が計画する87基の補助ダムを、建設継続か、新基準での再検証の何れかに区分し、総事業費の7割を国が負担する予算を見直す、との内容です。
が、そこには、「今後の治水対策のあり方」は、来年夏頃に中間
取り纏めを示す予定、と記されているのです。治水の方針も定めぬ儘、○×式の判断のみは先行する。いやはや、「ベスト&ブライテスト」からは程遠き、泥縄式の迷走ではありませんか。
元祖・脱ダムの田中康夫も驚天動地。ダムありきの石頭な自治体の首長ならずとも「J・F・Kの呪縛」に陥った「政権交代」はダイジョウビかのぉ、と疑心暗鬼でありましょう。
――――田中康夫の「にっぽん改国」