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ボビー・ジョーンズが教える「同治」の思想

「プレーヤーが打ち方について矯正したり変えたりしていいのは、練習の場のみである。」と言ったのはボビー・ジョーンズだ。彼が引退した直後、米国の雑誌「エスクワイア」創刊号に手記を綴っている。そしてジョーンズは「1番ティーグラウンドをスタートしたら、すべての技量はその結果に集中すべきである。正直言って、私が最高のプレーをしているときは、ボールの前に立ってスタンスをとった瞬間、すべての精神的迷いは払拭している。無心になっている。もうその時は、クラブ選択もどこに打つかもいちいち意識することはない。ごく自然にスタンスがとれているのだ。あとはもう馴染んだ筋肉の動きスイングするだけだ。習慣、潜在意識のコントロールとでも言おうか。自分の中にいるもうひとりの自分が、あなたが許可さえすれば、あなたのために打ってくれる。私は、そしてベストプレーは、そうして生まれると確信しているのだ。ただ、優柔不断、あるいは結果に対して不安を抱いたり、緊張しすぎると、この働きを妨げてしまい、ミスショットが生まれる。」
常に冷静に自分を見つめる、もうひとりの自分が存在し、第三者的に自分を分析し、叱咤激励しているわけである。さて、そのもうひとりの自分の存在が難しい。「何をやっているんだ、オレは!」「ダメじゃないか、そんなことで。」ネガティブに自分を叱咤することは、誰でもできる。ところが、ポジティブに心と体と精神を調和させていまの自分の最良の方法を見つけ出してくれるような激励、アドバイスを自分にするのが難しい。
ミスショットの後に大切な心情は、それだと思う。精神も肉体も緊張することなく、リラックスできた上で、不安を取り除き、次のショットのイマジネーションを膨らませる。「あなたの許可さえあれば」という自分の心の幅がプレーでは大切だというのが、ジョーンズのアドバイスだ。
仏教の言葉で「対治(たいじ)」と「同治(どうじ)」というのがある。「対治」は、対症的治療である。病院に行き、医者が症状によって、こうしなさいと治療してくれることである。精神的に言えば、それはダメだから、こうしなさい。もっと頑張らなくてはダメじゃないか。そんなことで、へこたれるな………など、ネガティブな発想から叱咤して状況打破することだ。つまりすべてを否定することで、対処する方法である。
逆に「同治」は、むしろポジティブ。心の重荷を取り除き、現状を否定することから始まるのではなく、肯定すること、受け入れることから次の行動を起こす思想である。
ジョーンズは、最後にこう言っている。「ゲームを前にあまり根をつめてゴルフをしてはいけない。切磋琢磨して練習するのは、大事なゲームのない時に限る。大切なことは、上手にプレーしたい(いい成績残したい)と思うなら、そのゲームの前になすべきことは、平静心を保ちゴルフが好きだという気持ちを決して摩耗させないことである。」これこそ「同治」の精神である。
これは、なにも自分自身の心の問題だけではない。例えば、レッスンを受けるときに、コーチが「ダメダメ」とか「何やっているの?いくら教えてもダメじゃない。」というアドバイスはまさしく「対治」。もっとポジティブな教え方をする「同治」的コーチのほうが上達は早いはずだ。
―――「昌鳳和尚のゴルフ講話」より
(神奈川県・法勝寺 三田村昌鳳師 元週刊アサヒゴルフ編集長)

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2009年10月03日 01:37に投稿されたエントリーのページです。

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