川端文科相くらいしか動きが見えなかった大臣たち
国連でCO₂の25%削減や核廃絶の先頭に立つことを宣言し、オバマ大統領には「対等な日米関係を築きたい」と伝えるなど、言うべきことを言った鳩山首相の外交デビュー。小泉首相以来のポチ外交と比べると、多くの日本人も「ようやく国際舞台で主張する首相を得た」と感じたはずだ。当面、鳩山首相の高い支持率は維持されるに違いない。
しかし、鳩山首相が国連で見えを切っていた連休中に国内で何が起きていたか。
前原国交相は、政策通で批判の破壊力は強力だが、地道に新しい仕組みを作ることはうまくない。なぜ、難問の「八ッ場ダム」から手をつけたのか。「川辺ダム」から始めていれば、地元首長の話し合いに基づいて、ダム建設の新しい仕組みと、前例をつくることができたはず。その実績を引っ提げて「八ッ場ダム」取り組むべきだったろう。しかも、地元住民に対して「地元の納得を得るまで廃止の手続きに入らない」と明言した。納得を得るとなると、かなり長引くだろう。
長妻厚労相が「後期高齢者医療制度」の廃止を宣言したことは結構なことだが、代替案を自ら示していない。
期待以上に動いていたのは、川端文科相くらいだ。官僚たちを休日返上で働かせ、財源を探させるよう動いている。少なくとも、死にもの狂いでやらないと、高校無償化は実現できないと自覚している。
ところが、CO₂の25%削減の達成は難題なのに、環境省が休日返上
フル回転したとは聞いていない。農水省も、農家への戸別所得補償費を実現するためには1兆円の財源が必要だが、赤松農相は、戸別所得補償を公然と批判し、国家公務員の政治的中立義務に違反した事務次官を更迭することもできず、連休中も動きが見えなかった。
このままでは政策実現は無理だろう。農相、経産相などの大臣は、その分野では素人で、いずれも調整型の政治家だ。派閥均衡人事と言われても仕方がないだろう。国家戦略室が強力な指示を出した形跡もない。
鳩山首相は外交だけでなく、足元を見なければいけない。景気悪化の懸念がくすぶっている。年内に成果を上げないと、支持率はあっという間に落ちてしまう。
―――――――金子勝(慶大教授)の「天下の逆襲」より