衆院選で民主党は308議席を獲得した。自民党をぶっ壊した小沢一郎の「剛腕」は確かにすごかった。
まず候補者の選び方だ。例えば、いま話題になっている小沢ガールズを見ると、ある共通点がある。みなショートカットで、NHKの連ドラの主人公のように、とびきりの美人ではないが、可愛くて、けなげに頑張っている印象が強い。
それは彼女らが何かひとつの物語を背負っているからだ。福田衣里子はC型肝炎訴訟、田中美絵子は派遣労働経歴、青木愛は参議院議員のバッチをなげうち、太田和美は選挙区を替えて落下傘として乗り込んだ。
しかも、これらの小沢ガールズを、久間章生、森喜朗、太田昭宏といった自公の古株の大物議員にぶつけたので、郵政選挙の刺客と違って弱い者イジメの印象はない。
対照的に、郵政選挙で刺客となった小池百合子、片山さつき、佐藤ゆかりら小泉チルドレンの3人は、どことなく、エゲツないことをしてでも這い上がってくるような印象を有権者に与えた。見せ物としては強烈だが、どちらがオジサン、オバサンの受けがいいかは明白だ。
いま小沢一郎に求められるのは、新たな安定的政権の創造だろう。「壊し屋」の小沢一郎が苦手なのは新しい政権と政策の「創造」だ。民主党政権には、いくつもの難問が待ち受けている。泥沼化したアフガン戦争にどこまで足を突っ込むのか、米国と喧嘩せずにどうやってアジア諸国と連携していくのか、自民党ができなかった年金、医療といった社会保障制度の抜本的改革…………。
どれもこれも、新たな価値や制度の創造が必要なものばかりだ。民主党を見渡すと、そうした新たな価値や制度を創造できる政策通が、「反小沢」グループに多くいる。
小沢一郎は心を広くして、反小沢グループからも人材を大胆に抜擢したほうがいい。かつて小沢は、94年に連立与党間に亀裂を招いて細川政権を崩壊させた。今度は308議席を持つ、内部に亀裂を避けることこそ肝要だ。いま幹事長になった小沢の本当の剛腕が試されている。
――――金子勝(慶大教授)の「天下の逆襲」より