長妻 この社保庁が解体されて、平成22年に日本年金機構が設立されることになりました。 自民党はこれで安心というが、果たして年金制度は本当に健全化できるだろうか、と 多くの国民は心配しているはずです。
岩瀬 解体は結構ですが、そもそも何故このような問題が起きたのか、きちんと検証しないと、同じ過ちが繰り返されることになる。
長妻 社保庁の役割を、政治家が勘違いしていたことが問題です。年金の制度設計は厚生省(厚労省)で、社保庁は事務処理を担当するだけの役所だと思っていた。したがって社保庁に対するチェックを怠ってきた。しかし、単なる事務作業といえども、それは年金という国家百年の計を見据える、極めて重要な仕事だったのです。
岩瀬 新たに発足する日本年金機構に移行するにあたって、社保庁の“負の遺産”をきれいに整理するため、監視委員会としても調査審議を徹底していきます。
長妻 社保庁の現員をほぼ横滑りする形で職員採用して、保険料徴収と年金給付を担当させるというのでは、社保庁時代と内実におおきな違いはありあません。
民主党は、社保庁が国税庁に吸収合併される形での歳入庁構想を提案しています。 税金と保険料を一緒に集めることが可能なこちらの方が制度の健全な運営と効率化が図れます。実際にアメリカやイギリス、カナダ、スウェーデンでも効果を上げている仕組みです。そして人員を配転するにあたっては、過去の勤務実態から厳選された職員だけを歳入庁で採用する。
岩瀬でも、国税庁側は社保庁の人間を欲しがらないでしょうね。それよりも、私は徴収と給付を明確に分けるべきだと思うのです。歳入庁に徴収の権限を完全に委譲し、社保庁の後継機構には給付と記録管理のみをさせる。
長妻 いや、記録管理も歳入庁がすべきです。諸外国の制度をみても、記録管理を徹底させるには徴収権をもつ組織が担当した方がいい。つまり最初の入り口段階で管理するのが一番です。そうなれば、年金相談も税務相談と一緒に歳入庁が行えます。行政のスリム化にも貢献できる。
岩瀬 しかし、どんな制度を作っても、年金を食いものにする官僚たちを駆除しないかぎり、我々の年金は守れませんよ。
長妻 秋に再開する国会では年金戦争の第二幕が上がります。依然として、私の事務所には、様々な年金問題の情報が寄せられています。例えば、障害年金に関しては、社保庁が定める傷病の重篤度を示す障害等級と、通常の身体障害者の等級基準にズレがあり、障害年金の受給にあたって非常に不自由している、という声も寄せられている。 また、厚生年金基金を15年未満で辞めた中途脱退者の申請漏れや、会社を辞めるとき保険料を返還したかつての脱退手当金制度など、問題は山積している。依然として、標準報酬月額の入力ミスで受給額がへらされているケースも多発しています。国民の皆さんから寄せられた情報を基に被害者データベースを作り、年金制度の健全化のために国会質問を続けます。
岩瀬 私は監視委員会の委員として、その実態をつぶさに見ていくつもりです。
長妻 官僚は確定した情報しか出しませんから、注意して下さい。何度資料請求をしても 、途中経過の情報については、「生煮えの資料は混乱を招くので出しません」という独特の表現で、出す事を拒絶してきます。
岩瀬 「生煮え」とは、よく言ったものですね。
長妻 私も何度も煮え湯を飲まされました。だから、「情報の精査が済んでなくても結構。その旨をいくらでも注記した上で、情報を出しなさい」という姿勢で、官僚と対峙すべきです。
岩瀬 年金官僚は何としてでも年金利権を手離そうとしないでしょう。年金は国家百年の計ですが、年金官僚とは「百年戦争」も覚悟しなければならないのかもしれません。
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