先の臨時国会で参院で初めて第一党となった民主党は4日間の会期中、単独で年金保険料流用禁止法案を、また社民国民新両党と共同で郵政民営化法改正案をそれぞれ提出したが、いずれも審議されず廃案となった。
10日午前の参院本会議と午後の衆院本会議に先立ち、参院で議院運営委員会理事会が開かれた。9日参院に提出された2つの法案に関し、自民党理事が「国会最終盤の提出は問題だ」と取り下げを要求。民主党理事は拒否したが、提出時期などは今後検討すると述べ、事実上廃案が決定した。
しかし、特に年金問題は次期国会での論戦が注目を集める事だろう。「文芸春秋」9月特別号において「年金官僚の逆襲を許すな」というタイトルの対談形式の特集がある。厚労省に巣食う年金官僚の堕落と腐敗を追及する記事を平成13年から「週間現代」誌上に連載して年金を社会問題化する端緒を作ったジャーナリストの岩瀬達哉氏と今や国民的英雄になった長妻昭代議士の対談である。ここに対談を掲載し、年金問題を我々国民の問題として捉え、次期国会の論戦とそれに続くであろう衆議院選挙の投票の判断材料としてもらいたい。
岩瀬 今回の参院戦では、自民党は予想以上の大惨敗でした。1人区で6議席しかとれず、目標 ラ イ ンに遠く及ばない37議席。この最大原因は、どう考えても年金問題ですよ。
長妻 ええ。選挙期間中から手応えを感じていましたが、60議席を頂き感謝致します。国民が年金 問題に大きな関心を抱き、それが政府自民党への怒りとなって爆発しました。 我々も、勝って兜の緒を締めよ、と肝に銘じて参ります。
選挙前の国会では、安倍首相の意向で会期延長をしたのに、「消えた年金」問題の実態解明が十分なされないままに年金関連法案を成立させた。年金に対する国民の不安と不信を取り除く施策は必要ですが、通常国会での議会運営は、強引かつ性急過ぎました。
岩瀬 年金制度制定以来、厚生省(現厚生労働省)年金局を中心とする年金官僚たちが、犯しつづけてきた大罪がある一方で、年金官僚の横暴を放置し続けてきた政治の責任は間違いなく大きい。
今回の「宙に浮いた年金5千万件」の問題も、長妻さんが国会質疑で村瀬清司社会保険庁長官の答弁を引き出さなければ、闇に葬られてしまったかもしれません。
長妻 政治の責任は3つあります。「発生責任」「解決責任」「実態解明責任」です。記録の統合漏れが起きたのは就任以前なので、安倍首相には発生責任こそないものの、解決責任と実態解明責任は当然ある。この2つを果たすことが、国民の利益を守るための急務です。
しかし、安倍内閣の対応を見る限り、解決責任も実態解明責任も果たすそぶりは全く見えない。それどころか、基礎年金番号制を導入した平成8年当時の管直人厚生相 が諸悪の根源であるかの発言を安倍首相自身がしましたね。自分たちの責任を棚上げ しては、国民の信頼は得られない。しかも、後になって、50年も前から政府は消えた年金問題を把握していたことが明らかになりました。
岩瀬 首相答弁は、スタッフが想定問答を作成するのでしょうが、それにしてもあの首相発言には強い違和感を覚えました。
長妻 自民党が年金議論対策用に作ったマニュアルを見ると、「民主党を論破する」「野党の攻撃」といった文言が踊っている。しかし、我々民主党は、自民党への攻撃材料として年金問題を出したわけじゃありません。国民生活の根幹をなすものだから、一刻も早く制度を正常化しなくてはならないと考えてのことなんです。
岩瀬 与党関係者の一部からは「今回の年金不祥事は社会保険庁の自爆テロだ」という声さえ上がっています。つまり、与党が進めていた社保庁解体案に対して社保庁自身が反対しこれを頓挫させるために民主党に年金記録漏れの情報を提供した、という説ですが……
長妻 そんな事実はありませんよ。むしろ政府与党は、己の不明を恥じるべきです。これほどの大問題、実情を把握する機会はいくらでもあったはず。それこそ安倍首相個人に発生責任はなくとも、行政の失敗を放置しつづけてきた責任は自民党に間違いなくあるのです。
岩瀬 選挙で自民党が大敗したといっても、まだ何も問題は解決していないのです。むしろこれで国民の怒りのガス抜きができた、と年金官僚は高笑いしているのではないですか。彼らの跳梁跋扈を許さないように、今日は年金問題を総ざらいしましょう。
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