サンスポに「甘口辛口」というコーナーがある。その時々のスポーツ界の出来事に対して論評している。そのコーナーに今村 忠氏が「女子48キロ級の試合」について的を得た批評を書いているので引用してみよう。
“なんとも不思議な代表選考だった。柔道世界選手権の代表を兼ねた、8日の全日本選抜体重別の女子48キロ級で優勝した福見友子(筑波大)が代表に選ばれず、実績を評価された谷亮子(トヨタ自動車)が選ばれた。決勝では出足払いで有効を奪った福見の完勝だったが、それでも谷が「金メダルに一
番近い」と見なされた。
確かに、長男出産後も柔道と子育てを両立させた谷の努力は並大抵ではなかったろう、と頭が下がる。子育てで心身ともに疲れた同世代の母親たちにも元気を与えた。05年の同大会以来の試合で、2年間のブランクがあったが、「他の選手にはあの動きは出来ない」と吉村強化委員長は総括したという。
しかし、その実績豊かな谷を真っ向勝負で堂々破り、頂点に立ちながら代表にはなれなかった福見の心境を思うと、あまりにも切ない。9月の世界選手権は来年の北京五輪につながる。谷はその流れに乗ったが、福見にすれば、「一体、何で勝てば代表になれるのか」と思いたくもなろう。「はじめに谷ありき」
の感もあり何のための選考会かと首をひねる。
目先の金メダルばかりを追って、谷に頼りすぎてはいないか。いくら頑張っても、なかなかチャンスがめぐってこない若手の士気はどうなるのか。何歳まで現役でいるのかわからないが、谷が引退した後、このクラスはペンペン草も生えなくなるのではとつい心配になってしまう。
「今回は負けたので若手に代表を譲りたい。次の大会までに完全な状態に戻し、北京五輪に必ず出る。」谷からそんなせりふでも吐いて辞退したとしたら、「さすが世界の谷」と、一段と女を上げたのでは、と思ったのは筆者だけだろうか。(今村 忠)”