既に読まれている人も多いと思うが、文芸春秋三月特別号に「寿命百五十歳時代がくる」という極めてエキセントリックな標題で浜田和幸氏(国際政治経済学者)が寄稿している。永遠の命を手に入れる。アンチエイジングの驚くべき実態ーというサブタイトル。以下そのレポートの概要を引用しよう。
アンチエイジングの研究は、世界でますます盛んになっている。アンチエイジングの最先進国、アメリカの実態を元にこのレポートは世界の最先端のトランスヒューマニストの考えを紹介している。
彼らは「人類はナノテクノロジー(超微細技術)や遺伝子治療の最先端の科学の力を総動員すれば、遅かれ早かれ死を克服する時代が来るだろう」と考えている。
ケンブリッジ大学の老人学の専門家であるオーブリー・ド・グレイ博士は次のように考えている。
「老化現象は、病気の一種に過ぎない。病気であれば、その治療や予防も十分可能になるというのである。我々の肉体の分子レベルでの補強・改良を積み重ねていけば、老化の進行をストップさせ、若返らせることも十分可能だ。老化防止の戦いは、今後の研究開発予算の金額にも左右されるが、おそらくこの十年以内に本格化する。そしてその後さらに十五年間は、この戦いが続くだろう。その先には、人類がかつて経験したことのない、永遠の命という勝利の報酬が待っている。」
また彼らは次のような議論を展開し、国や民間の財団から資金を得ようと活発な広報活動を展開している。
「アルツハイマー病だけでも、現在アメリカには四百万人の患者がいる。今世紀の半ばには、その患者数は千六百万人に増えるはずだ。その病気に対する治療や、その結果アメリカ経済が被っている損失額は一千億ドルに達する。しかも2050年までにアルツハイマー病を克服するための研究・開発には、一兆ドルを超える予算が必要とされる。更に言えば、アメリカ人が直面している病気は、アルツハイマー
病だけではない。心臓疾患、糖尿病など、さまざまな病気に関する治療法や治療薬の研究には、莫大な予算が投入されている。もしその予算の一部を、アンチエイジングの研究分野に振り向けることが可能になれば、これらの病気の予防や抜本的な解決につながる。資金の使い方としては、そちらの方がはるかに効率的だ。」